トピックス

2009年

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8月

8月20日 社団法人日本建築学会がパブリックコメントを募集しています

要旨

2009年8月4日、東京都内で社団法人日本建築学会のシンポジウム「室内空気中におけるアセトアルデヒド・トルエン・TVOC(総揮発性有機化合物)に 関するアカデミック・スタンダード」が開かれました。これらの物質について、それぞれの学会基準をアセトアルデヒド48μg/m3、トルエン260μg /m3、TVOC400μg/m3とすると発表されました。今後9月15日までパブリックコメントを募集しているそうです。

建築学会のHPアドレス: http://www.aij.or.jp/aijhomej.htm

パブリックコメントのHPアドレス:
http://news-sv.aij.or.jp/kankyo/s8/publiccomment/09air.html

解説

厚生労働省は、2000年に室内空気中のTVOCの暫定目標値を400μg/m3とし、ホルムアルデヒドなど13の物質については室内濃度指針値を設定し ました。しかし、13物質の指針値やTVOC400μg/m3という数値については、本当にこの濃度でよいのか、議論が続いています。

2009年5月、ケミレスタウン・プロジェクトでは、初の「プロトタイプ認証」をプロジェクトで建設した鉄筋コンクリート製の建物の中に作った教室につい て出し、「ケミレス教室」としてその室内空気中TVOCを250μg/m3程度としました。一般の戸建住宅で、新築の時点でこの濃度を達成するのは非常に 厳しいのですが、ボランティアによる体感評価では、400μg/m3以上と、250μg/m3程度とでは、敏感な人では症状の現れる人の数が約250μg /m3で大きく下がるので、この数値に設定しました。

今回、日本建築学会が学会としてアカデミック・スタンダードを出す、とのことで、どのような値になるのか注目しておりました。

今回のシンポジウムでは、同学会として、アセトアルデヒドの学会基準を48μg/m3、トルエンを260μg/m3、TVOCを400μg/m3と発表し ました。これらの濃度は、厚生労働省が発表している指針値と同じです。ただし、TVOCについては、「新築、中古の区別なく、年間を通じて」という条件つ きです。

シンポジウムでは、会場の木造建築を手がけている業者さんから、「木造住宅だと、新築の場合、TVOCが数千μg/m3から2万μg/m3になることもあ るのに、400はかなり厳しい」という意見も出ました。たしかに、杉やマツなどの針葉樹を使っている住宅だと、テルペン類という天然の防虫成分が高濃度に 検出されます。これによって、呼吸器系や皮膚、目の症状などさまざまな健康影響が出ることがあります※。 針葉樹の建材を推奨している人の中には針葉樹で建てた家の中にいることを「常に森林浴しているような状態だ(健康に良い状態だ)」という人もいますが、実 際の森林の中のテルペン類はこんな濃度になることはありえません。森は、当たり前ですが戸外ですので、テルペン類はほとんど臭いとして感じない程度のレベ ルです。テルペン類が数千から数万μg/m3にもなると、多くの人で症状が出てもおかしくありません。しかし、「天然のものが悪いわけがない」という思い 込みによって、症状を悪化させている人も多いことと思われます。

会場におられたシックハウス研究で有名な先生からは、「昔の日本の住宅と今の住宅とではまったく条件が異なる。昔の住宅は隙間だらけで、室内の揮発物質は いろんな隙間から戸外に出ていた。今の高気密の住宅では、それらの逃げ場がないので室内にこもることになる。また、テルペン類が酸化する過程でアセトアル デヒドが発生する。現代の住宅は、たとえばトイレにオゾン脱臭装置があったりして非常に酸化しやすい条件になってきている。そういう意味でも、テルペン類 が高濃度に存在する場合、単純に『天然だから健康によい』、とは言えなくなっている」というご意見を出されました。

そのほか、今回、室内空気中のTVOC濃度測定方法についても発表されました。その内容は、対象物質として50~260℃の沸点の範囲で、 C6~C16(ヘキサンからヘキサデカン)程度までの検出成分とされました。しかし、この範囲と設定すると、室内温度が低くても揮発してくるいわゆる VVOC(Very Volatile Organic Compounds=高揮発性有機化合物)はつかまえられなくなります。

ケミレスタウン・プロジェクトで検出された新しい室内空気中化学物質に、床暖房に使用されている発泡剤から出てくるペンタンやクロロエタンという物質があ ります。これらは非常に揮発性が高く(ペンタンは沸点が36℃、クロロエタンは12℃です)、今回建築学会が発表した方法では対象となりません。しかし、 プロジェクトでは、実験棟の中でこれらの物質が比較的高濃度で検出されたことから、プロジェクトの外の一般新築マンションで測定させてもらったところ、ペ ンタンだけで1000μg/m3検出されました。

そういう、最近室内で検出されるようになってきた物質のことを考えると、今回の、C6~C16(ヘキサンからヘキサデカン)程度までの検出成分、というだけでは不十分なように思われます。

しかし、建築学会が今回アカデミック・スタンダードを出すまでには大変な努力をされたことは間違いありません。基準をどうするのか、高くするのか、低くす るのか、根拠はあるのか、業界はどう反応するのか、そういったもろもろのことを考えながらまとめなければならなかったのに、思い切って学会としての基準を 出そう、と英断を下した関係者に敬意を表します。

ケミレスタウン・プロジェクトも、さまざまな壁を越えながらここまでやってきました。ご興味のある方は、建築学会のHPを覗いてみてください。また、パブリックコメントを出してみてはいかがでしょうか。

※西條泰明、佐田文宏、岸玲子「シックハウス症候群-分類・実態・対策」、 Environment and Building Services, 2003.6.1, より(「・・・アルファピネン(代表的なテルペン類)・・・はのど・呼吸器・・・いずれかの(皮膚、目、鼻、のど・呼吸器、全身)症状に有意に関連してい た。」


5月

5月13日 中間報告会を開催しました

5月13日(水)、学校、報道関係の方々においでいただきケミレスタウン・プロジェクト中間報告会を千葉大学環境健康フィールド科学センター、シーズホー ルにて開催しました。この報告会では、ケミレスタウン講義室を学校教室のプロトタイプとして認証することを発表し、「シックスクール症候群」を引き起こし にくい空間づくりを社会に提唱しました。学校などの室内環境が原因で「シックスクール症候群」に苦しむ子供たちがすこしでも減って、彼らが健康な生活を享 受できる街づくりの第一歩となることを願っています。

この日は同時にユニラボ(ユニットラボラトリー/居室ユニットの提案)や住宅ラボ(戸建型実証実験棟)の公開もおこないケミレスタウン・プロジェクトの進捗状況をご覧いただきました。


3月

3月31日 ユニラボの内装が完成しました

ユニラボ(ユニットラボラトリー・居室ユニットプロトタイプ)の内装工事とその後の空気質測定が終わりました。あとは家具が入れば完成、という状況で、皆様にご覧いただけるのも間近です。

今回、プロジェクトが提案しているのは

ユニラボ1: キッチン




            ユニラボ2: 寮







ユニラボ3: リビングルーム



の3ユニットです。プロジェクトの参画企業と協力し、部材や施工方法を吟味しながら化学物質を低減した居室ユニットを作製しました。一般公開ができるようになりましたらホームページでご案内をしますのでぜひいらして、実際に体感してみてください。


3月2日 改修工事が進んでいます

テーマ棟環境医学診療科部分の改修工事は、解体、空気測定が終わり2月23日から内装工事がはじまりました。壁面に断熱材が吹き付けられ、LGS(軽量鉄骨間仕切・壁の下地となり、その上に石膏ボードがはられていきます)とドア枠が設置されました。

今回の改修工事は壁面工事が先行し、そのあと床が設置されます。改修工事が完了した後、空気測定を行い、化学物質濃度が十分に低い環境であることを確かめ てから、診療科を再開する予定です。日程などがわかり次第、ご連絡していきますのでもうしばらくお待ちください。

2月

2月18日(水) 食と環境のセミナーで森教授が公演を行いました

財団法人 東京顕微鏡院の「第71回食と環境のセミナー」(於:日本橋社会教育会館)で森教授が「シックハウス症候群への予防医学的対応」と題して講演を行いました。

今回のセミナーは“ケミレス”化学物質を削減した社会作り~シックハウスへの対応~ということで、森のほかにケミレスタウンプロジェクトに関わってくだ さっている企業の方たちがシックハウスやケミレスについての企業での取り組みをお話してくださいました。

↑写真右から、株式会社積水ハウスの松下様、株式会社イトーキの福原様、財団法人東京顕微鏡院の瀬戸先生、森教授、司会進行の戸高助教です。

大変多くの方にご参加いただき、講演後には活発な質疑応答も行われ、内容の濃いセミナーとなりました。セミナーを企画、主催された東京顕微鏡院の方々、お忙しい中、ご出席いただきました皆様、ありがとうございました。


2月17日(火)見学会が行われました

日本ツーバイフォー建築協会様の見学会が行われました。

森教授・戸高助教によるケミレスタウン・プロジェクトやシックハウス症候群のについての講演ののち、ギャラリーの見学、実験棟の見学を行いました。

テーマ棟は現在、内装改修工事中ですが、工事の合間をぬって見学して頂きました。

皆様興味深く見学され、見学終了後も活発な質疑応答がなされました。


2月10日(火) プレハブ棟のベイクアウトをしています

プレハブ実験棟の空気測定の結果から、実験棟内部から揮発している化学物質の特定はできましたが、施工した壁紙やビニールシートではカバーできないことが わかりました。そこで、プロジェクトではべイクアウトという方法でこれらの化学物質を揮発させてしまう実験をしてみることにしました。べークアウトとは一 定の時間、室内を高温にして化学物質を揮発させ、その後換気をするという方法で、今回は一日に3回揮発、換気をし6日間続ける予定です。

一年で一番寒い時期なので、室内を高温にし、建物の躯体まで熱くするのは難しいのですが、ホットドライヤーを発電機とともに借りて試してみました。その結 果、狭い室内のせいか45度くらいまで暖めることができました。ベイクアウト後、もう一度測定をし、効果を確かめます。

≪ケミレス・ギャラリーは、環境医学診療科のリフォームに伴うテーマ棟閉鎖のため、11月21日~来春まで休館中です。≫

1月

1月15日(木)

2009年にはいってテーマ棟診療科部分の改修工事が始まりました。設備機器を取り外して、現在は壁などを取り壊しています。

ギャラリーの閉鎖などではご迷惑をおかけしていますが、よりよい室内環境をめざしていますので公開までもうしばらくお待ちください。


1月21日(火)

ケミレスタウンテーマ棟内環境医学診療科の改修工事のため、床、壁、天井部分がとりはずされ、コンクリートがむきだしになっています。これから換気、養生をして2月はじめに空気質測定を実施する予定です。

シックハウス症候群など室内環境由来の疾病で受診を希望される方にとっても快適な空間であるように慎重に改修をすすめていきます。


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